第200話 「フリダシに戻る」
200話目である。
継続するということは非常に素晴らしい。内容の良し悪しよりも、2年半続いているこのコラムの存在が素晴らしいのだ。・・・たぶん。
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今日は読んだ本のことに触れようと思っていたが、それはまた今度にする。
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朝。
起きられない。
時計を何度も見ては、起きようと思っていた時間から何分経ったのかを数える。
何度も、何度も、数える。
どうにも気が乗らない。
こういう日は決まって何かトラブルが起きるのだ。
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何とか家を出、目的地に向かうも、案の定トラブル発生。出直す事に。
途中のコンビニで買ったピザまんが食べてみたら肉まんで、最高に歯痒い思いをする。
しかも半分食べて事態に気付く体たらく。
謹賀新年。
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ある経営の大家曰く、余計なことを考えるのは仕事量が足りないからだ。と仰られたそうである。
これは非常に興味深いので、僕はそのことをふと思い出しては考えてみている。
僕は経営者ではないので、そちらの視点ではモノを見ることが出来ないからわからないが、僕も全くその通りだと思う。けれどもこれは非常に難しいことであると気付いた。モチベーションが足りない場合、クオリティーが下がり、最悪作業が追いつかないという状況に陥るのだ。そうならないためにはやる気を引き出す必要がある。やる気はどうやったら引き出せるのか。そもそも、心はどうすれば動かせるのか。
ここである。
僕はこの部分にもの凄く惹かれている。
どうすれば人の心を動かせるのか。
別に操ろうとか、仕事をさせようとか、そんなつもりは毛頭ない。ただ、人は何を見て、何を感じて心が動くのか、そのポイントが知りたいのだ。
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これは方向転換した時から抱えている、そして永遠に続くであろうテーマであり、そんなモノ作りを目指しているのだが、さて、ここまできていつも思考が停止するのだ。というよりも、これ以上先が全く見えて来ないので、いつもここで地団駄を踏み、フリダシに戻る。
リセット。
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文章にするとどうも堅苦しい。
しかも今日読んだ本のせいで、語り口が彼そっくりになってきている。まぁ到底彼にはかなわないのだけれど。
本当はそれほど難しく考えているわけではないのだ。
午前5時46分。
先ほどから体が宙に浮くような感覚がある。ここに座っているのだけれども、少し遠くにいるような、それでいて見えている全てのものに手が届く感覚。
そろそろおしまいか。
スイッチオフ。
第199話 「新年のご挨拶」
明けましておめでとうございます。
年が明けました。僕は実家でのんびり過ごし、昨日帰ってきました。
今年もTWOHEARTSをどうぞよろしくお願いいたします。
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実家では映画を観たり、買い物をしたり、本を読んだりと、年末に一切できなかったモノを取り返すことができた。
それにしても寒かった。けれど実家の布団は凄く暖かくて、こちらへ戻ってきたらあまりの布団の冷たさに寒さが倍増し、昨夜は寝つきが悪かった。
未だ体が去年の亡霊をひきずっているせいだろうか。近頃、寝つきが非常に悪い。
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最近、良い本と出会えている気がする。というか、あまり本を読まない生活をして来たので、新鮮なのかもしれない。今までは本を読むより他にやる事があるだろうなんて考えていたのだが、様々な刺激は自分の内側から発せられるものでは決してなく、他人であったり未知の空間だったりいつもの駅のホームだったり・・・。とにかく僕の外側にたくさんあって、それを見つけようとしなければ見つかりもしないものなのだと思った。
自分にない色々なものを取り込んで新しい事を見つけたい。
第198話 「来年も頑張れ。<自分」
やっと全部片付いた。とはいえ、それは今年やるべきお仕事がとりあえず一通り片付いたというだけ。
色々引っ掛かる事はあるけれど、もともとどうしようもないことばかりなので、それはまた来年。
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大した事ではないのかもしれないけれど、本人的には相当ハードな日々だったので、良く頑張ったであろう自分にご褒美したくて、新年用に下ろしておいたお金を一気に散財。もの凄くデザインの素敵なモノを見つけてしまったので、もう買わずにはいられず。ヴァス・ルダカー。かなり素敵です。
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今年中にもう一回書けるかしら?などと思いつつ、まぁお決まりですが、一年を振り返ったりしてみようかとも思ったのですが。
とりあえず、ざっと全体を振り返ると、良い年だったと。良くも悪くもという感じではあったけれど、それでも幸せな時間の記憶はハッキリと脳裏に焼き付いている。そういう時間が少なかったから良く覚えていられるのかもしれないけれど、でももの凄く強烈な印象としてこれから先も残る気がする。
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人間、非常にゲンキンなもので、買い物を済ませたらすっかり機嫌が良くなり、昨日までの胃のムカツキや吐き気が嘘のようにスッキリした。これでやっと年を越せる。
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そういえば、一つだけ、やり残してしまった事を思い出してしまった。
来年でも間に合うだろうか。
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今日で今年も終わり。
今年の自分にお疲れ様と言いたい。そしてまだまだ頑張れと。それからもっと笑って、泣いて、感動して、愛して、創って、虐めて、寝て、飲んで、凹んで、そして笑ってと。
来年は自分が生きていることの意味をより明確に認識したいんだ。そのためにはやるべきことが沢山あるし、乗り越えなければいけない壁や、設定すべき目標、確固たる意志と覚悟、挙げていったらきりがない。
とりあえず言える事は、「前の年よりいい年だったなぁ」と言えるようにするってことで。
来年も頑張れ。<自分
第197話 「新しい自分のために」
誕生日から年越しまで2週間以内という星の下に生まれた僕にとって、年末は最もメンドクサイ時期である。ただでさえ忙しいにも関わらず、それに呼応するように、プラス、マイナスの様々な心境が一気に心を覆い尽くし、それに疲れ果てた僕は、何をするのもメンドクサクて、結果、悉く怠惰な年末、新年を迎えることになる。
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誕生日の週であった先週は、結局一度も家に帰れなかった。いや、帰らなかったというのが正しいのかもしれない。
連鎖的に嵌る。
まるでドミノ倒しのように。
どんどん深みに嵌る。
まるで底の無い沼のように。
いつも通りのつもりだし、いつも通りのはずでも、どこかに小さな何かがあって、それが引っ掛かって躓く。
一度躓いたらあとはズルズルと。
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やる気が削がれて行くのを溜息でフォローしながら吐き気を堪える。
そんな日が続き、ついに完全な夜型になった。
それでも何かやるべき事、やりたい事があるはずと色々考える。このトンネルを抜けたらそれをやろうと思うが、いつ抜けられるのか、僕には皆目見当がつかない。
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髪の毛を切り、染め直した。
今回も微妙な色で、まぁ、何色にしても結局始めは違和感があって馴染めないのだけれど、それでも時間が経てばそれなりに見えてくる。とりあえず本人が気に入っているのであれば問題ない。感覚は人それぞれだ。
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だからこそ自分の感覚を大切にしなければならないのかもしれない。
けれど、それを押し通したところで、単なるエゴにしかならないから、他人にも共通する感覚を身に付ける努力が必要だろう。それを身に付けた上で人並み外れた感覚を養う。・・・なんて詭弁か。
どちらにせよ器用貧乏な僕にとっては、体を捩らせ身を削るようにでもしないと、ロクでもないモノばかりになってしまうので、これだけは我慢するしかないのかもしれない。
第196話 「僕は言いたい事の3分の1も伝える事ができない」
イイ写真とは何か。何を撮りたいのか。それを考えてふと、分らなくなった。
たとえばそれは、「私のどこが好き?」と聞かれて、それを表現するに値する言葉が見つからずにうーんと唸ってしまうのと似ている。
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イイ作品とは何か。何を創りたいのか。それを考えてふと、分らなくなった。
たとえばそれは、「君の恋愛観は?」と聞かれて、心が通じ合えればなんだっていいんだ。なんてカッコ悪くて言えずにうーんと唸ってしまうのと似ている。
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新宿でまた出口を間違えた。
僕はどうしても新宿駅で出たい出口から出る事ができない。
PM5:54、東口はもの凄い人の数で歩く事もままならない。とりあえず人波に流されるように目的の方角へと進む。
PM6:01、僕が時間にルーズなことを知っているから、時間になると必ず電話が鳴る。また出口を間違えた旨伝えると、品の無い笑いが聞こえた。
PM6:03、GAPの前に赤い電飾で飾られた真っ白な木があった。僕はポケットからカメラを出しかけて止めた。
PM6:06、待ち合わせ場所につくも見当たらず。電話をかけると隣で声。お互い電話を耳に当てたまま大声で笑った。
死ぬほど寿司を食べた。そういえば、昨日は死ぬほど焼肉を食べた。これからは当分質素な食生活を送ることにしようと心に誓う。
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甘いワインが好きだったはずなのに、フルボディの赤ワインの後味が好きになっている。僕が買うのはどっかの誰かと違ってもの凄く安物なので、味についてはよく分らないけれど、確実に好みが変わっていると思う。
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イイ文章とは何か。何を伝えたいのか。それを考えてふと、分らなくなる。
たとえばそれは、相手から「好きです」と言って貰えないのに、「愛しています」と叫び続ける事と似ている。
第195話 「little by little.」
自業自得な慌しさに自然と眉間に皺が寄る。
納品用データの準備とは、意外に時間のかかるものらしい。
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腹立たしい事とか、不満に思うことの多いこの頃は、安らかな深夜の静かな時間の流れが恋しくてしようがない。けれども世の中は昼のうちに流れるようにできているので、昼を放棄するわけにはいかない。確か昨日は夜明けに雨が降っていた。
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夕食を買いに部屋を出る。近頃では買ってきて食べる事が多い。外は五月蝿いから。
安いワインを2本。
フルボディの赤ワインとフルーティな白ワイン。
それから本屋に寄って本を2冊。
売れに売れてる青い小説と出たばかりのターンの絵本。
僕の夜が始まる。
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辛くもあり楽しくもあるのが扉絵のデザイン。真っ白なキャンバスにモノトーンのベジェを引っ張るのがとても心地良い。試しに市松模様のキャンバスに大好きなオレンジのベジェを引っ張ってみたら気持ち悪かった。
色数は少ない方が好きだ。モノトーン+一色を基本にカラフルなワンポイントで彩りを添えるのが好き。
でももうワンパターンだ。それに見栄えもそんなに良くない。都こんぶと赤ワインが合うのか合わないのか分らない感じだ。
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5時間くらいかけてチビチビやっている。断続的に時間をかけてチビチビやるのがみみっちくてイイ。
今朝の夜明けは雨が降ってない。
第194話 「ニホンゴ」
いつものように1番出口を抜けたら案の定赤信号だった。
いつものように僕は人ごみにまみれ、信号が変わるのをじっと待つ。
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僕は他人の汚い言葉遣いに敏感だ。自分自身、汚い言葉を平気で使っているくせに、他人の言葉遣いが気になって仕方が無い。こと、女性の言葉遣いについてはなおさらだ。
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今朝はいつもにも増して煙い。
横目で確認できる範囲で、少なくとも4人、僕のそばで煙草をふかしている。
煙すぎる空気の元を辿ると、区が設置した緑色の灰皿から白い煙がもくもくと上がっている。
*
当時、特に嫌いな言葉があって、その言葉を発したときには、笑いながら言い直させたものだ。
女性にはその言葉は似合わないと勝手にそう思っているのだが、それはもしかしたら男女差別なのかもしれない。
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火事ともとれる程の煙を吐き出す灰皿の脇で、二人の女性が煙草を咥えていた。たぶん学生だろう。
火事ともとれる程の煙を吐き出す灰皿の煙に包まれた二人のうちの一人が、やや大きな声で言った。
「くせぇ」
信号が青に変わる。
*
とかくこの街は住みにくい。
第193話 「conclusion」
CG屋として・・・特に3D女子製作者としては見逃せない中吊り広告を見つけた。
某京王井の頭線の某先頭車両。
僕は以前からそのポスターが駅に張られていることに気づいていて、それでもさほど気にも止めないでいたが、いつものように電車に乗り込んだら見事に連なる3D女子。
思わず仰け反らずにはいられない衝動を抑えながら、震える手でシャッターを押す。
僕には何も言えません。がんばってください。京王電鉄株式会社様。
*
ひとりになると不安で、昨日の事もこれまでの事も、全てが分らなくなってしまう瞬間。
不確かな拠り所に支えられ、信じる事も、成功する確信も、全てが手のひらに感じられる瞬間。
傷ついて気が滅入り、仰向けのまま静かに目を閉じる時も、妙にそっけない態度も、どうでも良くなる瞬間。
・・・。
それらを思い出すことも、幸せも不幸せも、全てが帰結する揺ぎ無き想い。
あと何年かかればたどり着くだろうか。
第192話 「夕暮れのベンチ」
「素人のくだらない日記ページは全部滅んでいいけど・・・」
と書いてあった。真っ先に自分のページの事を言われているような気がした。
*
公園のベンチに腰掛けて、ゆっくりと流れる雲を眺めていた。
小高い丘の上にある眺めの良いベンチ。とても静かなベンチ。
*
英語のメールが来た。
意味はわかるけど、返事ができない。
僕は外国語が苦手だ。
日本語も決して誉められたものではないが。
*
いわゆる大手企業さんのサイト。
ページの数は膨大だ。
そして、その中のほんの一部分を作る仕事をしていて感じる、分業の難しさ。
これだけのページを管理・運用する事は本当に大変だと思う。
それでも救われているのは、初期デザインがしっかり作り込まれ、洗練されている事。
200ページにも及ぶガイドラインドキュメントには作成してゆく上でのルールが事細かに記されており、全てのページはそのルールに従って整然と構成されている。
そういえば以前、あるWeb系の雑誌にこのサイトのナビゲーションの素晴らしさを紹介する記事が載っていた。僕は他人事ながらその記事を見て軽くほくそ笑んだことを覚えている。
敢えてグチを言うならば、作り手の個人差や癖がどうしても入ってしまう事か。
顔も知らない誰かが作ったモノを修正しなければならない事がしばしばあるが、なんでそうなるのかと文句をつけたい時がある。とはいえ、僕はとても人のことを言えるようなモノを作っている訳が無く、逆に僕のは癖がありすぎて他から見たら笑われてしまうかもしれない。それもこれも、以前定期的に行っていた仕事の仕様のせい(ということにしておく)なのだが。今更戻すのも面倒で結局そのままにしているのだけれど。
そういえば最近になって初めて「おまかせ」で新規ページのデザインの話が回ってきた。
イレギュラーな単発キャンペーンのページなので多少奇抜でも・・・という注文に、僕はちょっとだけ張り切って作成するも見事ボツ。いやいや、もちろんその後出した2案目がちゃんと通ったのだが・・・。
それにしても難しい。何が正しいという答えが明確にあるものでもないし、人によって好き嫌いもある。
だとすると、僕はより平均的なものを目指さなければならないのか。それを評価し、判断する基準は何なのか。実はあまり良く分っていない。強いて言えば「感覚的な何か」がそれに当たるかもしれない。
*
少し日が暮れてきた。
肌寒い空気が背筋を通り過ぎる。
僕はとても心地良い気分だ。
ずっとこのままでいられたらどんなに幸せだろうか。
・・・。
もう時間だ。
僕は重い腰を上げて、そのベンチを後にした。
第191話 「今日の出来事」
もう学生が帰る時間なのか・・・。
白い息を吐きながら待つ駅のホーム。今日は母親の電話で起きた。
寝起きに彼女のハイテンションな笑い声は最高の目覚ましだ。今日は午前中に大根を大量に収穫したらしい。
*
仕事もそこそこに赤坂BLITZへ。今日はBREATH、鈴木 崇、そしてHysteric Blue。
*
BREATHの曲が良い。正統派J-POPである。僕のツボに入りまくる。
それもそのはず、ギターのプロフィール欄には、
作曲活動において、様々な著名アーティストに楽曲を提供し、成功を収める。
<<主な提供楽曲>>
■浜崎あゆみ「vogue」「Far away」「SURREAL」
■Every Little Thing「fragile」・・・etc.
納得。
大学時代、僕らのバンドが目指していた音楽ってこんなんだったんだろうなぁとかしみじみ思う。
それにしても王道な構成。とてもイイのだけれど綺麗過ぎて面白みに欠けはしないか?彼らは売れるのだろうか・・・。と考える。avex所属だし、CMのタイアップもある。でも、なんかなぁ。などと考えながらも凄く気持ちよく聞くことができた。彼らのビートロックが昨今のパワーポップ、ギターロックの流れの中でどこまでやれるか。これからどうなるか気になるところ。って素人風情が生意気に何を言っているのか。
*
鈴木 崇はご存知アコムのCMソングの人。この人も微妙なんだけど、最後から2番目の曲が良かった。最後の歌はもちろんアコムの歌なんだけど・・・。
*
前々から見てみたいと思っていたHysteric Blue。最近見かけないような気がしていたんだけど、ちゃんとシングル出してるみたいで。とにかくTamaちゃんがキュート。なんたって声がイイ。ラストの「春〜spring」で感無量。楽しかったです。
*
Topでも書きましたが、誠に恥ずかしながら「CGアイドル・コンテスト3 」にエントリーさせて頂いております。BSデジタルの番組で、視聴者の投票でグランプリを決める仕組みになってます。Webからも投票できますので、是非ともご参加くださいませ。(誰に入れろとは言いませんが、いや、僕に入れてください・・・笑)
それにしても第一回戦から凄い人達と当たってしまいまして。二回戦くらいいけるかなぁなどと考えていた僕が甘かった。精進します。
第190話 「189の続き」
・・・なんてことを、僕は何回考え、ここに書いてきただろう。
繰り返すんだ。結局全て繰り返しているんだ。
抜け出せないのか。
第189話 「前を見なさい。」
気が滅入ってどうしようもなくて、気がついたら終電を逃してしまった。
それから思考を前向きに修正するのに要した時間、2時間半。僕は広くない事務所の端から端まで、グルグル歩き回っていた。腿に軽い疲労感がある。時計は午前2時を回ったところだ。
*
今週は穏やかで気の抜けた一週間だった。何の変哲も無い一週間。そんなのはもうこれきりにしよう。
*
昨日の深夜、切ない映画を見た。ちょうど今くらいの時間だったろうか。偶然つけた12ch。
生まれて始めての「日活ロマンポルノ」。
出演:速水典子・寺田農、「ラブホテル」。
*
会社が倒産して借金を苦に死を決意した男と、一夜だけ体を売った女。異常な夜。
彼は天使を見た。そして彼は生きる。
2年後、再び出会ったふたり。
結ばれるかに見えたが、最後に男は姿を消す。
*
分りづらくて、古臭くて、でもとにかく切ない。
もっとエロいのかと思ったけど、全然そんなことなくて、でもとにかく切ない。
でもとにかく切ないんだ。
*
2時間半も歩いたら、やるべき事が少しだけ見えてきた。諦めようと思った事、無理して諦める事も無いって気がして。うまく行くなんて全然思えないけれど、別に何かするわけでもないけれど、諦める努力をすることは馬鹿げていると気付いた。僕が僕自身のやりたい事を我慢して、一体誰が僕を満たしてくれるというのだ。
もっと前を見なさい。忙しいんだから。
購入CD:コーネリアス "POINT"、CHEMISTRY "The Way Are"、backstreet boys "Greatest Hits"
第188話 「fall into a trap」
月日の過ぎるのは早いが、一度嵌ってしまった罠から抜け出すには時間がかかるようだ。
*
無意識のうちに自分で仕掛けた罠に自ら陥っている。そんな感じだ。
気を抜いてはいけない時に気が抜け、僕は自らそれを望み、そして嵌ってゆく。
*
僕はそこから抜け出す術を知らない。
今までの経験からすれば、それは自分の意志と関係なく聊されるものであって、僕はただひたすら、じっとその時を待つだけしかない。
*
いかにもコレステロールの多そうな食べ物が並んでいる。
僕は何のためらいも無く、遠慮せずに食べる。
*
そういえば先日、健康診断に行ってきた。
去年は胃に異常が見つかって、胃カメラを飲まされた。
今年はそんなことは絶対にさせないと心に誓い、少し前から胃に優しい食事を摂ってみた。
その甲斐あってか、再検査は免れたのだが、結局B判定。
年季の入った女医が一言。
「十二指腸に潰瘍の痕がありますね」
そりゃどうも。
去年はE判定だった胃がB判定になったのだから大した進歩じゃないか。
結果B判定が3つ。
40過ぎのオヤジがオールAなのに、20代の僕はB判定か。
納得がいかない。けれど気にしない。それでも僕は去年・一昨年の僕よりずっと健康だ。
*
人間、嵌ると焦る。
焦ると嵌る。
とりあえず一旦立ち止まって整理整頓しなければいけない。
しかしそんな落ち着いた時間を得る事さえ難しいのが現実だ。
大体、落ち着けないのだから仕方が無い。
第187話 「悪イ夢」
再び眠りに就くと、あの悪夢が再び始まった。
*
僕は誰かを殺した。
何故殺したのか、誰を殺したのか、そういったことは思い出せない。
とにかく大変な事になったと、当ても無く逃げ彷徨う。
*
目が覚めてなんて夢だと溜息をつく。気分が悪い。
起き上がる事ができずにボーっと天井を眺めている。
*
僕は逃げていた。
これは本当は夢なんだと半分分っていて、それでも逃げている。
不思議な感覚。
いつ目が覚めるのだろうか。などと考えながら逃げている。
*
目が覚めてさっきの夢の続きを見てしまったのだと気付く。気分が悪い。
起き上がる事ができずにそっと目を閉じる。
*
僕は逃げる事をやめていた。
別に誰も追ってこないし、誰も僕を責めようとはしない。
けれど僕はやはり誰かを殺した。それだけは事実らしい。
記憶を辿っても何も思い出せない。あるのは殺したという事実だけ。
不思議な感覚。
遠くで電話の鳴る音が聞こえる。
*
布団から身を乗り出して受話器を取る。刹那、留守電のメッセージが流れる。
発信音の後、しばしの沈黙。気分が悪い。
そのあとゴソゴソと聞こえる妙なノイズ。
30秒のノイズ。
電話が切れると僕は仕方なく起き上がる。
とにかく気分が悪い。
購入CD:babamania "Pornmuzik", 小島麻由美 "My name is Blue", |