完全に自然を失っている僕の住むこの街にも、
こうやって逞しく生きる小さな命がある。
人々が寝静まった深夜、散歩中の所を撮らせてもらった。
馬鹿でかいレンズをくっつきそうなくらいまで寄せても
彼はただ一点だけを見つめ、ぴくりとも動かない。
ストロボの光に反応する様子も無いので、
どうやらかなり写真慣れしているようだ。
一通り撮り終えてお礼を言うと、
彼は何事も無かったかのようにゆっくりと歩き始め、
まるで牛のようにのそのそと暗闇の中に消えていった。